いよいよファイナル週!来日版『ウエスト・サイド・ストーリー』セットはどんな感じ?舞台裏潜入してみたレポ。

360度回転するIHIステージアラウンド劇場、ここで来日版のミュージカル「ウエストサイドストーリー」が上演中だ。そして来月からは日本人キャストによる公演が始まる。そして今回、貴重な機会を得ることが・・・・・・バックステージ!客席エリアを囲みようにドーナツ状にバックステージがある。客席が回転する、俳優はバックステージを動いて移動し、次の場面になる。暗転もなく、セットを変えるための幕前の芝居もない。場面転換はスムーズでスピーディだ。
まずはドッグの店。1950年代がリアルにそこにある。ジュークボックス、壁の写真や絵、棚にある商品、全てきちんと時代考証しているのだ。カウンターの後ろに回ると・・・・・客席からは絶対に見えっこない、そこには食器が!使ったっぽい感じで置いてある。棚に置いてあるキャンディのボトルにはカラフルなキャンディがいっぱい!ポストカードも売ってる、タバコも売ってる、洗剤も!ほぼコンビニ???みたいになんでもあるドッグの店。商売熱心なのかな?と想像力が膨らむ。

順番に見ていく。路上の『ゴミ』類も壊れた車もリアル、細かく当時の様子を再現、実はブロードウェイの舞台以上に細かく、丁寧に作られているのが、とにかく驚愕。オートバイはこれはオリジナルで電動、とのこと。

メインステージから客席を臨むと客席が円形なのがよりはっきりわかる。そして・・・・・ミュージカルなのでしかも生演奏、俳優陣は客席の上手と下手に設置されたモニターで『きっかけ』を知ることができる。実際に観劇すると「生演奏なのにどこできっかけ見てるんだろう」という疑問があったが、ここで”すっきり”する。天井には紗幕がかかっており、鉄骨が透けて見える。この紗幕はかなりのこだわり。これがあることによって客席からは今、どの角度なのかをわかりにくくしており、『興ざめ』することがないよう、配慮の紗幕だそう。

そしてオケピット。回る客席なので通常の場所ではなく、奥に”オケピット”・・・・・というよりは”部屋”という感じ。ここで演奏。

 

オケピットを拝見し、また舞台、乳母車、映画でしか見たことのない形、そしてポスター、これは一回、綺麗なものを作成し、わざとボロボロにしたそうで、リアルというより、ここまでくると”本物”としか見えない!本場の舞台より”ボロボロ”感を出したそうで、そういうところで、徹底したリアリズムを追求。洗濯物も絶妙な汚れ具合!しかも着古した感が!

そしてマリアとアニタが働くブテイック、これももはや本物!店の端っこにあるミシンが!これでマリアとアニタが洋服を縫っていた、と思わせるような、ちょっと雑然としてるところがすごく細かい。

上を見ると・・・・・あのバルコニーが!言われてみたい、言ってみたい(笑)。ゴミ箱のゴミも!計算され尽くしているはみだし方!とにかく全てが徹底した時代考証とそれを細かく再現するスタッフワーク。最初は模型を作って、それから具現化したそうだが、スタッフに実際に聞いて見ると、いつから着手したのかは定かではないくらいの時間をかけて作っているそう(記憶が曖昧・・・・・のようです)。

どの記者もほぼほぼ「1950年代のニューヨークの街裏をカメラ片手におのぼりさん状態でキョロキョロ、ウロウロ」状態。タイムスリップしたような錯覚、ここでリアルにマリアやトニー、ベルナルドが現れたら・・・・・思わず一緒に写真を撮りたくなるような(笑)、ミーハー気分に!
ちなみに日本初の海外ミュージカル公演は1964年、日生劇場、チケット代は5000円。そして今は21世紀。当時の来日カンパニーの面々はきっと21世紀も上演される、なんてことは想像できなかったであろう。時代も国を超えて進化し続ける作品、それが「ウエスト・サイド・ストーリー」、

【公演概要】
2019年8月19日(月)~10月27日(日)
場所:IHIステージアラウンド東京(豊洲)
公式HP:https://www.tbs.co.jp/stagearound/wss360_2019/
取材・文:Hiromi Koh